校長挨拶
雙葉中学校・高等学校が大切にし続けてきた雙葉学園のルーツ
本校には「宗教」という授業があります。中学受験を目指す人の中には『〈宗教〉というと、なにか堅苦しいイメージがある』と考える人もいるのではないでしょうか。でも、〈宗教〉というのは、その学校が何を大切に教育を行おうとするのか、ということを示す重要な特徴なのです。 キリスト教はカトリックとプロテスタントに分けられますが、どちらも「イエスはキリストである」と信じる重要な点では共通しています。歴史的な経緯によって教会の組織や在りようが違ってきたのです。今日では違いを強調するのではなく、イエスをキリストだと信じるということを大事にした対話が進められています。 雙葉学園は「幼きイエス会」というカトリックの修道会によって設立された学校です。入学したら入信を強要されることは決してありません。信教の自由は基本的人権であり、雙葉はその尊厳を大切にしています。ただし、校内には聖堂があり、教室や廊下には十字架やイエス・キリスト、聖母マリアの像や絵が掲げられています。一日の始まりに各クラスの朝の会で祈りを唱えたり聖歌を歌ったりします。これらは、雙葉が大切にしてきた価値観を象徴するものです。 宗教は、社会が「当たり前」としてきた現実を超える、人間観や世界観を私たちに示してきました。歴史の中で、人間の命の尊厳が損なわれたり、能力や地位によって差別や分断が生まれたりすることがあります。宗教はそのような現実を超えて、すべての人が尊い存在であるという視点を示しています。 雙葉学園の設立母体である「幼きイエス会」の創立者、福者ニコラ・バレ神父(1621年~1686年)は「(ニコラ・バレ神父と幼きイエス会のシスター方によって運営されていた)キリスト教的愛徳学校の起源は、御ひとり子(イエス・キリスト)を与えるほど世を愛された神のみ心にある」と語りました。また、1909年に雙葉学園を創立した修道女メール・セン・テレーズは、「私は布教のために日本に来たのではありません。地味で上品な日本女性を育てるために来たのです」と述べています。「地味」とか「上品」という言葉は古めかしく聞こえるかもしれませんが、決して控えめでおとなしい女性像を意味してはいません。人間の尊厳を大切にし、社会の人々とともに未来を創り上げていく女性を育てたいという強い願いが込められています。 雙葉学園の根底にある人間観は「私たち一人ひとりは神さまから愛され、大切にされている存在である」という確信です。雙葉での日々の学びと生活を通して、自分自身を大切にし、他者を愛することのできる人へと成長していくことを目指します。 皆さんが雙葉で経験する宗教行事や宗教科の学び、そしてすべての授業や友との交わりは、カトリックが大切にする価値観を自然に身につけていく機会となります。
雙葉中学校・高等学校は、日々の祈りと学びを通して、生徒の人間的成長を豊かに育んでいくことを目指す学校です。雙葉中学校・高等学校 校長 萱場 基

